5 Oct.2024 VOL.06©FUTURE OF LIFE/EXPO2025教授(左)から話を聞く坂井一貴さん(中央)と西山美里さん。座っているのは石黒教授そっくりのロボット=大阪大学豊中キャンパスなるのか、ちょっと想像がつきません。石黒さん 今のロボットはまだ人間の道具ですが、いずれ両者は一つになると考えています。そんな人間とロボットが融合した世界はどうなるのかをデザイナーやアーティストたちと議論しています。それを1000年後の未来を象徴するアンドロイドとして展示します。アート的な作品になりますが、具体的な姿はまだ秘密です。今言っちゃうと楽しみがなくなるでしょ(笑い)。西山美里さん 先生が担当される「いのちを拡げる」というテーマには、ただ量的に寿命を伸ばすだけではなく、限られたいのちの質を高めることも含まれると思います。人間には生きがいも大切ですね?石黒さん 私も、多くの人が楽しく生きられる未来を作りたいと考えています。遠隔操作で動くアバター(ロボットやCGキャラク る「いのちの未来」は、どんなシグネパビリオンになるのでしょうか?ンドロイドを使って50年後の未来をも人工知能(AI)などの技術を発展さのちの可能性を飛躍的に拡げるのは私たちの暮らしにどんな幸福をもたられるのか。3年前から企業の若手社たアイデアの一部を展示やパビリオン示されると聞いています。どんな姿に一貴さん 石黒先生がプロデュー浩さん 約30体のロボットと約20てもらいます。人間はこれまで科学よって能力を進化させてきました。こない。50年後、いのちはどこまで進と住まい、街、健康、移動、仕事なな視点から考えてきました。そこから未来シアター」で紹介します。さん 1000年後の未来のアンドロイ石黒さん 性格でしょうね。「もっと新しいことを知りたい」と常に思っています。難しいことを考えず、ゆっくり生きるという生き方もあるが、僕にはそれができません。西山さん 子供の時に1970年の大阪万博をみて、その影響を受け、将来の進路を決めた人もいらっしゃると聞きます。石黒さん 僕はまだ小さかったので、覚えているのは「みどり館」(世界初の全天全周映像で話題になった民間パビリオン)くらいかな。でも、潜在的には大阪万博からいろいろな影響を受けていると思います。坂井さん 「いのちの未来」を訪れた人に、どんなことを考えてもらいたいですか?石黒さん 一人一人に未来について考えてもらいたいですね。未来は他人に作ってもらったり、神様にお願いしたりするものではない。未来は自分が責任を持って作っていかなければなりません。これだけ強大なテクノロジーを持つようになった人類には大きな責任もあります。そして皆さんのような若い人にはいくらでも可能性がある。自分たちがどんな未来を作りたいのか、しっかりと考えてもらいたいと思います。石黒浩さん 人とかかわる知能ロボットやアンドロイド研究の第一人者として知られる。大阪大学大学院基礎工学研究科教授。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。2015年、文部科学大臣表彰とシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム知識賞を受賞。20年、立石賞受賞。24年、市村学術賞功績賞受賞。ター)を使えば、障害のある人や高齢者も自由に活動できます。多くの差別は人間が肉体を持っているから生じると思います。人間と技術が融合した新たないのちは肉体や環境の制約から解き放たれ、より自由になって新たな可能性が生まれる。それがいのちを拡げるという意味でもあるわけです。西山さん 働くことも変わりますか?石黒さん 単純な作業はロボットやAIがやってくれるようになり、多くの人はクリエイティブな仕事にシフトしていくでしょう。未来は文化がもっと豊かになると信じています。EXPOST編集部 AIが進化すると「人間は仕事を奪われる」という人もいます。石黒さん そんな人は今すぐスマホを捨ててください(笑い)。人間はこれまでも新しい技術が出るたび、仕事が奪われることを心配しながら、それをしっかり受け入れ使いこなしてきました。人間はまだまだ進化の途中にあります。「今のままで十分だ」と思った瞬間に進化は止まってしまいます。西山さん 石黒先生は極限まで自分を追い込んで、ものごとを考えられると聞きました。その姿勢はすごいなと感じました。間はまだまだ進化するボット学者 石黒浩さん未来を考えるューサーに聞く
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