発行日 2025年2月10日 取材・印刷 サンケイ総合印刷株式会社 レイアウト 真生印刷株式会社 協力 デジタル総合印刷株式会社/株式会社LAB.AS記事・写真の無断転載は禁じます外周がガラスパネルのらせん回廊で覆われたチェコパビリオン(©Office of the Czech Commissioner General)展示室となる回廊のイメージ(©Office of the Czech Commissioner General)見学会で説明するオンドジェイ・ソシュカ政府代表(右)と村尾和則社長(中央)大阪・関西万博にチェコが出展するパビリオンの外観が完成し、1月10日、報道関係者に公開された。外周がガラスパネルのらせん回廊で覆われた木造のパビリオン。本紙「EXPOST」も見学したが、想像していた以上にユニークで美しい建物だった。建設されたのは大屋根リング内側の水辺空間・ウォータープラザに面した区画。高さは万博協会の設計ガイドラインで限度とされた12mあるが、延べ床面積は2300㎡という中規模のパビリオンだ。回廊のパネルには名産品のボヘミアンガラスを使用。見学会の4日前に最後のパネルが設置され、現在は内装工事が行われている。建物の外周に沿って入口から屋上までスロープでつながっており、この回廊が展示スペースとなっている。回廊は半透明のガラスから外の光が入り、明るい空間だ。テーマは「人生のための才能と創造性」。日本でも人気の画家アルフォンス・ミュシャ(1860〜1939年)の作品に着想を得て画家ヤクブ・マトゥシュカさんが制作した全長250mの壁画が通路に描かれる。回廊の途中に広い場所があり、初公開となるミュシャのブロンズ彫刻や、ミュシャの世界観をイメージしたガラス芸術家ロニ・プレスルさんの作品が展示される。プレスルさんのガラス彫刻は夜間、ライトアップされる。屋上まで上ると現れるのが会場を一望できるテラスだ。大屋根やウォータープラザ、他のパビリオンを見渡すことができる。屋上を開放するパビリオンは限られるため、写真の撮影スポットとして人気を集めそうだ。帰りは回廊の内側にある階段で地上へ。館内にはエレベーターも設置される。一部がふくらんだ円筒形をした建物の中央部にはコンサートや講演会などが行われる吹き抜けのオーディトリアム(多目的ホール)が設けられる。1階はレストランと土産物店。テラス席もあるレストランでは名物のチェコビールや料理が提供される。一部に鉄骨が使われているが、パビリオンの主要構造は木造だ。チェコは海外参加国で初めて2023年9月、建設許可を大阪市に申請したが、着工できたのは8カ月後の24年5月だった。木製パネルを使うため強度試験などのデータの提出を求められ、建設業者探しにも時間がかかったという。結局、大阪市の中堅ゼネコン、大末建設が施工を引き受けた。チェコの工場でガラスや木製パネルなどの建築資材を製造し、日本に運んで現場で組み立てることで工期を短縮。チェコの職人も応援に駆け付け、6カ月で外観の完成にこぎつけた。チェコ政府代表のオンドジェイ・ソシュカさんは記者会見で「挑戦的なプロジェクトだったが、予定より3週間早く工事を終え、美しいパビリオンができた。万博ではチェコがクリエーティブな国であることを伝えたい」とアピール。大末建設の村尾和則社長は「日本では前例がない建物。チェコの職人の技術力にも感心した」と語った。万博では内外の有名建築家らが設計したパビリオンが立ち並び、それが見どころの一つになっている。中でもチェコパビリオンは注目される建物の一つだろう。その美しさが際立つのは日没後だ。回廊から漏れた光でパビリオンはシャンデリアのように輝き、その姿がウォータープラザの水面に映し出されるに違いない。Feb.2025 VOL.078万博会場に輝くガラスの回廊チェコパビリオン 外観が完成
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