EXPOST VOL.8
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6「展物構合基れ活大 「nルイ・ヴィトンのインスタレーション(LOUIS VUITTON)昨年 4月、万博の開幕1年前イベントで「ふしぎな石ころ echorb」を披露する宮田裕章プロデューサー(産経新聞社提供)建 築 家(Architect) 建 築の設 計や監理、その他関連業務を行うプロフェッショ没入感(Immersive) ある対象や状況に意識を集中し、その世界に入ったようデバイス(Device) パソコン、スマートフォンや、それらと接続して使う装置の総光ったり、音が流れたりする。ドイツのサーキュラーは3カ国語で音声案内する。ライド型では入場者は同じ体験しかできないが、デバイスを使えば一人一人が異なる体験ができる。スマートフォンが普及した時代らしい展示手法といえそうだ。な感覚のこと。音楽や映画に熱中しているときやゲームにのめり込んでいるときなどに使う。全身どっぷりはまる感じ。「没入感」は最近、テーマパークなどエンターテインメントの世界で注目されている言葉。リアリティーのある映像や音響で観客がその世界の中にいるかのような感覚を体験できることで、「イマーシブ」とも呼ばれる。その演出方法は最新のデジタル技術を使うものから、インスタレーション(空間芸術)型や観客参加型までさまざまだ。万博でも多くのパビリオンが「没入感のある展示」をアピールしている。落合陽一プロデューサー(メディアアーティスト)のシグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」。全面が鏡におおわれた空間があり、入場者は生成AI(人工知能)がリアルタイムでつくる万華鏡のような映像に取り囲まれる。事前にスマホの専用アプリで自分の全身をスキャンしておくと、映像に自分そっくりに振る舞うアバター(分身)が登場。入場者も演出に加わることができる。テーマは「いのちを磨く」。落合プロデューサーは「これまで見たことがない世界を見られるのが万博。デジタルとつながる新たな世界を体感してほしい」と語る。ゲーム大手のカプコンが大阪ヘルスケアパビリオンに出展した「モンスターハンターブリッジ」は、同社の人気ゲームの世界に入り込んだような体験ができるコンテンツ。シアターの壁や天井、床に映像を映し出し、入場者がAR(拡張現実)対応のゴーグルをつけると、モンハンのキャラクターが目の前にいるように感じられる。さらに「多数のスピーカーや床振動によって、より没入感を高めた」(同社)という。国際赤十字・赤新月運動館では、入場者は世界の人々の何気ない日常生活を写したインスタレーションを見た後、半球型ドームシアターへ進む。そこに映し出されるのは世界各地で頻発する紛争や災害による人道危機の現状と、それに立ち向かう赤十字の人々の姿。同パビリオンは「没入感の高いシアターで赤十字の使命と人間の力を感じていただきたい」としている。フランスパビリオンは、壁にルイ・ヴィトンのトランク84個を並べたインスタレーションを設置している。日本とクラフツマンシップ(職人芸)へのオマージュを捧げた展示だといい、アトリエの音が響き渡る。ブランドのファンにはたまらない空間だろう。ナルのこと。日本では国土交通省が認定する「建築士」という国家資格があるが「建築士=建築家」ではないとされる。愛知万博の海外参加国は万博協会が用意したパビリオンに入居したが、大阪・関西万博では47カ国が「タイプA」と呼ばれる自前のパビリオンを建設した。こうした海外パビリオンを含め、国内外で活躍している建築家や建築事務所が手がけた建築物が多いのが今回の万博の特徴だ。レバノン出身の女性建築家、リナ・ゴットメさんが設計したバーレーンパビリオンは、アラビア半島の伝統的な帆船からインスピレーションを得た建物。木材を用いた構造とアルミニウムの外壁で構成され、三角帆を膨らませた帆船にも造船中の船にも見える。バーレーンの造船技術と日本の木工芸技術を再解釈したデザインだという。ゴットメさんは今年2月、大英博物館の大規模改修コンペでその設計案が選ばれ、建築界で大きな話題となった。日本で万博が開かれるのは6回目だ。時代が変われば万博も変わる。今回は55年前の大阪万博はもちろん、20年前の愛知万博(愛・地球博)とも展示手法などが大きく異なる。大阪・関西万博を理解するための3つのキーワードを探った。称。単体で動作する「情報端末デバイス」と、パソコンなどにつなぐと特定の機能を発揮する「周辺機器」の2種類ある。かつての万博は入場者が乗り物でパビリオン内を回る方式が主流だった。大阪・関西万博では、こうした「ライド型」のパビリオンは一つもない。多いのは独自のデバイス(端末)を使って、入場者にさまざまな体験をしてもらうパビリオンだ。手のひらに乗せると、どこかに引っ張られるような感覚になる−。宮田裕章プロデューサー(慶應義塾大学医学部教授)のシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」は、不思議なデバイスを使用している。会場中央の「静けさの森」の一角に位置する同パビリオンは鉄骨を組み合わせた外観で、天井や壁がない。テーマは「いのちを響き合わせる」。その場に居合わせた入場者同士がグループを組んで森を散策し、国内外のアーティストが制作した作品と遭遇する。その案内役となるのが「ふしぎな石ころ echorb」というデバイスだ。石ころは重さ100gほど。特殊な振動で人の脳に引っ張られたり、押されたりする感覚を錯覚させる。これによって物理的な力を伴わなくても、誰かに導かれるような体験ができるという。また、色が変わったり、他のデバイスと共鳴したりもする。宮田プロデューサーは「入場者同士がつながり、響き合う中で、ともに未来を描く体験の提供を目指している」という。このほかにも、オランダが球体、ドイツが「サーキュラー」というパビリオンのキャラクター、パナソニックグループの「ノモの国」が結晶、住友館がランタン、「電力館 可能性のタマゴたち」がタマゴをイメージしたデバイスを採用。ノモの国の結晶は無線タグを埋め込んでおり、オブジェにかざすとApr.2025 VOL.08万博のキーワード万博のキーワードふしぎな石ころ/ 万

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